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 塩は防腐効果があり細菌類を死滅させたり、増殖を押さえる働きがあります。昔から魚の塩物、漬け物、味噌、醤油、など多くの食品の保存効果が利用されてきました。
 細菌類は塩の浸透圧で脱水されて死滅したり、繁殖が押さえられたりします。最近の減塩指向で多くの塩保存食品の塩の量が減少してきており、アルコール添加、ソルビン酸などの保存料添加、冷凍または冷蔵保存、などで対応していますが、それでもなお塩の働きは重要です。だから塩に細菌はないと考える人が多いようです。確かに塩は安全な食品ですが、細菌の中には塩が好きな細菌(好塩菌)や塩では死なない細菌(耐塩菌)もあります。せんごう塩特に日本で使われている膜濃縮のせんごう塩では菌類はありません。天日塩にはかなり菌類がいて、好塩菌数は1gに1〜100万個も入っています。

 好塩菌、耐塩菌の仲間には、食中毒の大きな原因になっている腸炎ビブリオ、黄色ブドウ状球菌など恐ろしい病原性細菌もあります。しかしあまり心配するほどのことはありません。今まで塩の中の好塩菌で中毒を起こした例はほとんど聞いたことがありません。人間の体には強い免疫力があって、少々の細菌で発病することはないのだと考えられます。しかし、食品加工では注意がいるようです。生物も死ぬと免疫は働かないのです。
 通常の細菌は10%食塩水でほぼ発育は阻害されます。しかしカビや酵母は食塩に強いし、好塩菌や耐性菌は増殖します。魚の塩蔵では好塩菌で魚肉の赤変を起こしやすく、商品価値が下がってしまう例も報告されています。

 好塩菌は通常赤色から黄色の色が付いていることが多く、着色した塩には注意した方がよいでしょう。ただし赤から黄色の色は、鉄錆の混入、岩塩では鉄鉱物の混入の例が多いことから、着色していれば好塩菌というわけではありません。また夏の魚介類による腸炎ビブリオがしばしば問題になりますが、通常海水汚染が原因で塩が犯人ではありません。
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