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 塩のミネラル表示が気になって、去年からミネラルについて調べています。そこで質問ですが、
1. ミネラルというのは、元素の周期表にのっている元素のうち、水素H、酸素O、窒素N、炭素Cをのぞいたすべての元素のことをいうのですか。
2. 必須ミネラルは、本によって書いてあることが違います。何が正しいのかわかりません。必須の主要ミネラル、微量ミネラルとは何なのですか。すべて教えてください。
3. 市販されているいわゆる自然塩は、生命に必要なミネラル、とくに微量ミネラルをバランスよく含んでいることに存在意義があるように宣伝しています。この点がまだ未解決の最大の争点と考えていいのでしょうか。
 
1. ミネラルの定義について

 ミネラルは広くは無機物の総称ですが、塩でミネラルといっているのは、生理活性のある無機物をいうようです。ただし毒物としての無機物はミネラルといわないようです。明確な定義ではありません。そういう意味ではH,O,C,Nは有機物の構成要素ですからそれ以外は無機物という考え方は正しいと思います。「食品総合辞典(丸善)」ではOCHN4元素以外の生体構成元素としています。

2. 必須ミネラルは何か

 生理活性のある無機物は何かについては、研究は継続中と考えます。現在まで明らかになっているものとして、「和田:機能性栄養素としての微量元素、ミネラル・微量元素の栄養学p102(第一出版1994)」から引用すると、

多量元素 主要元素 O,C,H,N
準主要元素 Ca(600),P(600〜1200),S,K(2000〜4000),Na(NaClで10,000),Cl,Mg(300)
微量元素 Fe(10),Zn(10),Cu(2),Cr(0.05),Co,Se(0.05),Mn(2.5),Mo、I(0.1)
超微量元素 As,B,Br,Cd,F,Pb,Li,Ni,Si,Sn,V

以上30元素が明らかになっています。( )内は必要摂取量(成人1人1日mg)で、厚生省の目標摂取量および和田(上記)の必要量の低値から引用しました。

3. 自然塩のミネラルバランスは健康上価値があるか

 自然塩の宣伝は、必須ミネラルをバランスよく含むこと、生体に必要なミネラルは海水の成分バランスであり、それが生かされていること、そしてそれが健康によいことを主張しています。

 塩は1日平均13g経口摂取します。そのうち家庭で利用する塩の量は約1gです。塩の中の最大のミネラルはマグネシウムMgですが、それでも塩の中に多くて0.5%までです。すなわち塩からは5mgしか摂れません。わかめの味噌汁1杯のマグネシウム量は100mg以上です。一口分にも相当しないのです。準主要元素までの成分を塩から取ることは意味がありません。ミネラル摂取は食事全体として考える必要があります。自然塩が健康によいというのは宣伝のためのウソといってよいでしょう。

 ただし微量成分を加えることは時に意味をもちます。塩の摂取量がほぼ一定しているので不足するミネラルなどを一定量補給するには良い方法です。ヨード不足地域の甲状腺障害防止のため微量のヨードを塩に加えることが義務付けられている国もあります。
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