立釜と平釜
塩粒からの推理
塩を見たとき、粒の形、粒の大きさ、型の揃い具合、湿り、指でつまんだ具合、べたつき、塩粒同士のくっつき加減、などでほとんど推定できるものです。どんな作り方をしたか、料理に使ったときにどんな特徴があるか、などの概略も知ることができます。何でも分かるわけではありません、一般的にこんなことが言えるということで多くの例外もありますが、塩のことを考えるには一寸したヒントになるでしょう。ここでは塩粒から製法などを判断する方法の一端を紹介します。
1.
定まった形がある(結晶の形がある):
『はい』:煮詰め塩(煎ごう塩)⇒1-1へ
塩粒が1mm以下で、大きさ、形がほぼ揃っている。形は立方体(サイコロ状)またはトレミー。
『いいえ』⇒2へ
1-1塩粒は直径0.2〜1mmで立方形(サイコロ状)
『はい』:立釜塩、中粒立方晶(外側加熱型蒸発缶、完全混合型蒸発缶)
見かけ0.5mm位の塩粒、大量生産方式が多い、標準タイプの塩
『いいえ』⇒1-2へ
1-2個々の粒は0.1mm位の大きさが不揃いの小さい粒(サイコロ状)の集合
『はい』:不完全混合型、凝集晶
見掛けは0.2mm以上、粒は20倍以上にしないと見難い。直火加熱の平釜または不完全混合型の立釜(例えば、標準型や蒸気利用型蒸発缶)、1-1中粒立方晶より溶けやすく、結晶が柔らかい。
『いいえ』⇒1-3へ
1-3粒は平板を含む形
『はい』:トレミー、蒸気加熱無混合型平釜
ピラミッド状のトレミー結晶またはその破砕されたもの、平板、階段状など、粒は大小いろいろ、立方晶が混ざることがある。1-1中粒立方晶より溶けやすく、くっつきやすい。
『いいえ』⇒1-4へ
1-4微粉、粒は0.01mm位の微小なサイコロ状の粒の集合
『はい』:全乾燥塩
見掛けは小麦粉状の微粒、ここの粒は100倍以上の顕微鏡でないと見にくい。極めて溶けやすく、くっつきやすい。
『いいえ』もう一度よく見てください。できれば顕微鏡で確認してください。
粒に丸みがあれば3へ
2.
形が不定形
『はい』:粉砕または破砕された塩です。
よく見ると鋭角の破断面があります。多くは天日塩、採掘岩塩ですが、微粒塩では1-1中粒立方晶を破砕したものがあります。通常粒径は不揃い。粒径は0.1mm以上塊状まであります。ふるい分けして粒の大きさを揃えたものもあります。一般的に大粒の場合は溶けにくい塩です。
3.
粒の形に丸みがある
3.1粒形状は球状、円盤状、
『はい』:球状塩
蒸発装置、塩貯槽、などで育晶したもの。流れがあるところでは自然に育晶して球状になる場合がある。流動性がよい。固まらない。現在は特別な使い方はない。
『いいえ』⇒3.2へ
3.2角が取れて丸くなっている
『はい』にがり添加で一部溶けた、吸湿して一部溶けた、
元が何であったかは状態を見て判断する。
『いいえ』上述のどれにも当てはまらないときはもう一度見直す。塩ではないのかも?